『ラスト・チャイルド』ジョン・ハート:東野さやか訳
現代のミステリー界で最も注目を集めている作家の一人であるジョン・ハートの第三作目であり、英国推理作家協会優秀スリラー賞受賞作。
美しい少女が誘拐された事件は、警察が何ひとつ手掛りをつかめないまま発生から一年が経過していた。
警察の捜査が遅々として進まない中、たった一人その事件の捜査をすすめるのは13歳の少年。誘拐された少女の双子の兄だ。
少年は妹の救出と崩壊した家庭を復活させたい一心で学校へも行かず身を削って妹を捜し続ける。
心に傷を負い、痛々しい姿で街を彷徨う少年は大人の制止を振り切ってただ妹を捜し続ける。
妹は誰に連れ去られたのか。
少年の家族の再生はあり得るのだろうか。
王道のミステリーではなく、登場人物達の’’人間’に焦点を当てた物語です。
悲しい事件が起こったとき、人々にどのような影響を及ぼすのか、何が救いなのか。
痛々しいまでに切実に、温かい家庭を求め彷徨う少年と、それを見つめる大人。これらを丹念に描き出す筆力と観察には胸が苦しくなります。
ボリュームのある長編小説ですが、人間描写とともに優れたリーダビリティーを有する『ラストチャイルド』は一度手に取ったらもう目が離せないはず!
少年とその家族、それを見つめる人々はどのような結末を迎えるのか。
一緒に見届けてみませんか?
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